「歯は何本あるの?」という問いに答えるなら、子どもの乳歯は20本、大人の永久歯は28本から多い人で32本(親知らずを含む場合)です。ただし、単純に本数の違いだけでなく、乳歯と永久歯にはそれぞれ特有のリスクと、守り方の違いがあります。
乳歯の特徴と注意点
乳歯は生後6か月ごろから生え始め、3歳前後で上下合わせて20本がそろいます。永久歯に比べて小さく、エナメル質が薄いため、虫歯が一気に進行しやすいのが特徴です。しかも痛みを訴えにくい年齢であるため、気づいたときには大きな虫歯になっていることも珍しくありません。
乳歯は「どうせ抜けるから」と軽く扱われがちですが、噛む・発音する・顎の成長を助けるといった役割があり、永久歯の正しい生え方にも大きく影響します。そのため、仕上げ磨きを小学校中学年ごろまでは続け、フッ素を含む歯みがきや定期的なチェックを欠かさないことが大切です。
混合歯列期に潜むリスク
6歳ごろから乳歯と永久歯が入り混じる「混合歯列期」に入ります。特に最初に生える6歳臼歯は歯ぐきの奥に隠れるようにして萌出するため、毛先が届きにくく虫歯になりやすい歯です。また、生え変わりの時期は歯並びがでこぼこになり、プラークがたまりやすくなります。この時期は磨き残しが増えるため、部分的に小さなブラシを使ったり、フッ素洗口を取り入れるなど、工夫が必要です。
永久歯の特徴と予防の視点
12歳前後で永久歯が28本そろい、その後親知らずが生える場合は32本になります。永久歯は乳歯より硬く、虫歯の進行は緩やかですが、代わりに歯周病のリスクが生涯にわたってつきまといます。特に40代以降は、歯ぐきが下がって露出した部分に虫歯ができる「根面う蝕」や、噛みしめ・歯ぎしりによるすり減りが問題となります。
この時期に大切なのは、歯ぐきの境目を意識した丁寧なブラッシングと、歯間清掃の習慣化です。フロスや歯間ブラシを毎日のケアに取り入れることで、虫歯と歯周病の両方を予防できます。さらに、生活習慣も大きな要因になります。喫煙や糖尿病、ストレスによる食いしばりなどは歯周病の悪化要因になるため、歯科医院での定期的なメンテナンスで早めにチェックすることが欠かせません。
まとめ
乳歯は弱く虫歯になりやすいからこそ“親の手助け”が重要で、永久歯は強い分“慢性疾患との戦い”が中心になります。どちらも違った形で、一生の健康に直結する大切な存在です。
曽我歯科医院三軒茶屋では、子どもの乳歯の管理から大人の歯周病予防まで、年齢や生活習慣に合わせたケアをご提案しています。定期検診を通じて、歯を「一生ものの財産」として守っていきましょう。